カッコウの夫婦

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最近、妻が怪しい。
 

結婚十年目であるのだが、妻とはレスの状況が進んでいた・・・
 

しかし、最近になって俺と夜を求めるようになった。
 

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　　　　 　 　 　 　 　 　 ｌ　　　　　ミ＝-‐　　 　 　 .′　　　　　　　　　　　　おう。
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　　　　　　　　ﾂ二二二／ .／＿_ 　 　 　 　.／　 |
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そこで、人を使ってあの手この手で遺伝子調査を行って貰った。
 

俺の子は本当に俺の子なのか・・・その結果が今、分かる。
 

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　　　　　　　　　　　　 ／ /／ ）ﾆ=''´　　　　　 ./ .|
　　　　　　　　ﾂ二二二／ .／＿_ 　 　 　 　.／　 |
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なんとなくわかっていた結果である。
 

不貞から生まれた子であっても子は子だ。
 

娘に一切の罪は無く、愛情はある。
 

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..　 　|:::::::γ⌒^Ｙ⌒ヽ :.|
..　　 |:::::::::/ ._ノ 　ヽ　 ..|
　　　|:::::::〉 （ ○） （○）|　　　　　　　　　　　　　　　い、いえ。
.　　（@　::::⌒（__人__）⌒)
　　　 |　　u 　 |r┬-|　 |　　　　　　　　　　 　 　 　 では・・・・・・あの、やらない夫さん。
　 　　＼ 　　　`ー'´ ／
,,.....イ.ヽヽ、___ ーーノﾞ-､.　　　　　　　　　　　　　　 自分を責めないでくださいね。
:　 　| 　';　＼_____ ノ.| ヽ　i
　 　 |　　＼/ﾞ（__)＼,| 　i　|
　 　 ＞　　 ヽ. ハ　 | 　 |｜
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男は何とも言えない表情を浮かべ、その場を後にした。
 

分かっている、妻に裏切られた哀れな男の心配だ。
 

それでもけじめはつけねばならない。
 

昔から代々続く美筆家の血を、その跡取りとしての決断。
 

妻や家族への説明と理由。
 

やるべき事をやるだけである。
 

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　　　　　　　　|　 |　|/∧ 弋....ﾉ 　 　 　 弋....ﾉﾉ |　| |薇]ｌ′
　　　　　　　　|　 |　|　|∧ """ 　 ,　 　 　 """　|　| |≦　　　 　 　 　 　 　 　 真実を話さねばならない時が来たのだわ。
　　　　　　　　|　 |　|　|　　、　　　　　　 　 　 ノ |　| ||
　　　　　　　　|　 |　|　|＞ "≧ 　 ￣　　　≦// |　| |≦　　　 　 　 　 　 　 　 お父様方、お母様方。
　　　　　　　　|　 |　|　|///////l[[薔]]l//////｜ | |//
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両家の家族を呼び出し、妻を含め事の発端を説明。
 

理由を問い質せば、おかしな発言が飛び出してくる。
 

父や母の何が関係あるというのか。
 

　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　 ／　　 _,.ノ　 ヽ､_
　　　　　　　　　 　 ｜　 　 ( ○) (○）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　は・・・？
　　　　　　　　　　　｜ U　　（___人__）
　　　　　　　　　　　 .|　　　　　　　__ﾉ__　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 いや、どういう事だ父さん！
　　　　　　　　　　　　|　　　　 _／ ___＼ヽ_
　 　 　 　　 　　 　　 人､ 　　'-／____ ヽ　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 何の話だろ！？
　 　 　　 　 　　 _,／(　ヽ､　 __'-〈 、 ヽ　　|
　　　_, ､ -― ''" :l : :.＼　 ヽ,､.ﾞ,/ヽﾉ}　　　ﾄ､
　　/. : : : : : : : : : :|＿: :.ヽ､ ∧:::〈ヽﾄ{　　　〈j)、
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父、一夏の口から放たれた言葉はあまりにも衝撃的で
 

受け止めるのに時間を要し、自分の中で何かがぐちゃぐちゃに混ざりあい
 

澱んでは沈んでいくのが分かった。
 

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　　 　 　 〈　 　 ＼＼ {/:.:.:.:.:.: i:. ≧く＿　ｌ:.:.:.:. : /|:.:.:.::|＿ノ!:.::　　　　　　　　　お前達夫婦が育てている子は名家である美筆家の本当の当主様の御子女様だ。
　　　　　　 ⌒＼　＼7}:.:.:.:.:.:.: ㌢芹笊ミｔ､:.:.:.:.:./‐=≦:}:.:.: /:. |
　　 　 　 　 　 / ＼/ / |:.:.:.:.:|:.:|ゝV)ツ 　 }　／ ､＿_,:/:. /:.:.: |　　　　　　　 　 やらない夫・・・黙っていて済まない。
.　　　　 　 　 /:.:.: 〈 /:. :{:.:.:.: |:.:|　　 　 　 ／　　 ｀^¨^:.:./:.:.:.:.:|
　　　　　　　/:.:.:.:.:.: 〉:. /:.:.:.:.:|:/　　　　　　　 '　　　≦イ:.:.:.:.: :　　　　　　　　　 お前さんは元々孤児で、我々家族はその子を守る役目の存在なのだ。
　　　 　 　 /:.:.:.:. : /:／ヽ! : ::| :{　u 　 　 　 　 　 　 人:.:.:.:.:.:./
.　　　　　 /:.:.:.:. : 〈/:. : :∧:.:.:| :i　 ＼　　(　　)　 ..::. /:.:.:.:.:. /
　　　　　/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. /　 ﾟ.:.|/___ 　 ヘ　　 イ:.:.:.:.:/:.:.:.:.:／{
　 　 　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. /　　 〉{/　　≧s。 爪〉， : :/ : :／ : ::i
.　　 　/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. /　　ィi〔ﾍ:　　　　/ ～{ ∧∨:／:.:.:.:.:.:.|
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　　　　　　　　　　　　　　　　　, -――- ､
　　　　　　　　　　　　　　　 ／三三三三=ヽ
　　　　　　　 　 　 　 　 　 /三三三三三三ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 l三三三三三三三}
　　　　　　　　　　　　　　 l三三 三三三三/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　我が楼前家が良さそうな子達を選び、御子女様への
　　　　　　　　　　　　　　 ヽ=三三三三三{
　　　　　　　　　　　　　　　∨ﾆ三三三三/　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 忠誠が高そうな男の子を別の孤児の女の子とくっ付け
　　　　　　　　　　　　　　__/三三 三三／
　　　　　　　_, 　-　 '" ´三三三三三 ヽ､_　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 夫婦の役をやってもらいつつ、いつの日かお披露目する計画なのだ。
　　　　 ／三三三三三三三三三三三三三三ヽ､
　　　／三三三三三三三三三三三三三三三三ヽ　　　　　　　　　　 　 　 　 暗殺や襲撃の危険性がある故に、できれば隠しておきたかった話だった。
　 ／三三三三三三三三三三三三三三三三三三＼
／三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三＼
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三＼
三三三三,三三三三三三三三三三三三三三三三三三三＼
三三 ／　ヽ三三三三三三三三三三三三三三三!､三三三三ヽ
三／　　 　 ヽ三三三三三三三三三三三三三三|　｀ヽ､三三三 ＼
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向こうの家族も、こっちの家族も全ては紛い物。
 

たった一人の子を守る為に作り上げられた家族。
 

真紅の家は代々、こうして美筆家に忠義を尽くしてきた家なのだと。
 

　　　　　　　　　　　　　　　　　, -――- ､
　　　　　　　　　　　　　　　 ／三三三三=ヽ
　　　　　　　 　 　 　 　 　 /三三三三三三ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 l三三三三三三三}
　　　　　　　　　　　　　　 l三三 三三三三/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　本当に洒落にならない事が世の中には存在する。
　　　　　　　　　　　　　　 ヽ=三三三三三{
　　　　　　　　　　　　　　　∨ﾆ三三三三/　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 御子女様はそういう血を継いでおられるのだ。
　　　　　　　　　　　　　　__/三三 三三／
　　　　　　　_, 　-　 '" ´三三三三三 ヽ､_　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 我々が身代わりとなってお守りせねばならないのだよ。
　　　　　 /三三三三三三三三三三三三三｀ ヽ､
　　　　　/三三三三三三三三三三三三三三三ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　なんとしても、な。
　　　　 /三三三三三三三三三三三三三三三三 ',
　　 　 /三三三三三三三三三三三三三三三三三',
　　　,/三三三三三三三三三三三三三三三三三三,
　　 /三三三三三三三三三三三三三三三三三三ﾆ',
.　 /三三三三三三三三三三三三三三三三三三三ﾆ,
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しかし、それでは疑問が出てくる。
 

真紅の出産に立ち会って、子が生まれる瞬間を見届けている。
 

ならば、俺の子は？産まれた子は？
 

　　　　　　　　　　　　　 .　-――‐-　.
　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　 //　　　　　　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　/l|　　　　 　 　 　 　 |　　 !
　　　　　　　　　 ,'/l|　ｕ　　　　　 　 　 |j　　|
　　　　　　　　　 |/l|　　　　 　 　 　 　 　 　 |
　　　　　　　　　 |/l|　二ﾆ=彡}ｌ{ミﾆﾆ二_}　 |
　　　　　　　　　 |/l| ((__○ _》∨《_ ○__))　 !　　　　　　　　そこまでするのかよ・・・
　　　　　　 　 　 ∨|　≧ニ´　⌒　｀ニ彡　/
　　　　　　　 　　 V|　　　　　　l　　　　 　,/　　　　 　 　 　 狂ってやがる。
　　　　　　　　　　从 lj　 ､＿_人_＿_, 　 /|
　　　　 　 　 　 　 |∧　 　￣ ｧ┐￣　 ,/ l|
　　　　 　 　 　 　 |/∧　　　　　　　|j /　 |
　　　　　　 　 　 ,ｨ|///＼＿＿＿__／ l　 ﾄ､
　　　　＿　-‐／/::＼//　　　 　 /　　 ／:::|＼‐-　＿
　-‐　￣　 ／　〈::::::::::＼/　　　　} /／:::::::/　 ＼　　￣　‐-
　　　　　　 ＼　∧::::::::::::::＞‐--‐＜:::::::::∧　 ／
　　　 　 　 　 ∨　ヽ::::::::∧ニニﾆ=/::::::/　 ∨
　　　　　　　／　　　＼/　ヽ====∧:::/　　　＼
　　　　　　　 ＼　　　　＼ /三三ヽУ　　 　／
　　　　　　　　　＼　　　　ヽﾆﾆﾆ=/　　　／
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冷淡に言い放った義理の父だった男は、取り繕う様もなく
 

役目と仕事を背負った忠臣の面をしていた。
 

幸せはなんだったのか、俺の誇りは。
 

　　　　　　　　　　　　　 .　-――‐-　.
　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　 //　　　　　　　　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　/l|　　　　 　 　 　 　 |　　 !
　　　　　　　　　 ,'/l|　ｕ　　　　　 　 　 |j　　|
　　　　　　　　　 |/l|　　　　 　 　 　 　 　 　 |
　　　　　　　　　 |/l|　二ﾆ=彡}ｌ{ミﾆﾆ二_}　 |
　　　　　　　　　 |/l| ((__○ _》∨《_ ○__))　 !　　　　　　　　　　　　もし、もしですよ？
　　　　　　 　 　 ∨|　≧ニ´　⌒　｀ニ彡　/
　　　　　　　 　　 V|　　　　　　l　　　　 　,/　　　　　　　　 　 　 　 向こうが望んだ性別でなければ・・・
　　　　　　　　　　从 lj　 ､＿_人_＿_, 　 /|
　　　　 　 　 　 　 |∧　 　￣ ｧ┐￣　 ,/ l|　 　 　 　 　 　 　 　 　 子供はどうなるのですか。
　　　　 　 　 　 　 |/∧　　　　　　　|j /　 |
　　　　　　 　 　 ,ｨ|///＼＿＿＿__／ l　 ﾄ､
　　　　＿　-‐／/::＼//　　　 　 /　　 ／:::|＼‐-　＿
　-‐　￣　 ／　〈::::::::::＼/　　　　} /／:::::::/　 ＼　　￣　‐-
　　　　　　 ＼　∧::::::::::::::＞‐--‐＜:::::::::∧　 ／
　　　 　 　 　 ∨　ヽ::::::::∧ニニﾆ=/::::::/　 ∨
　　　　　　　／　　　＼/　ヽ====∧:::/　　　＼
　　　　　　　 ＼　　　　＼ /三三ヽУ　　 　／
　　　　　　　　　＼　　　　ヽﾆﾆﾆ=/　　　／
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俺は聞くべきでも知る出来でも無かった事を聞いてしまった。
 

決して覗かず、閉じておくべきだった扉を覗き
 

深淵を見てしまったのだ。
 

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　　　　　　　　　 ｉ ｉ　　/ ゝ ‐=ﾆ二ﾆ=‐ヽ　ﾟ，　 }: }
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　　　　　/{:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : /　∨:.:.:.:.:.:.:.: |:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:|:. iﾏヽ
　 　 　 //i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/　　 ∨:.:.:.:.:.:. |:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:}:. } ﾏﾑ
　　　 //　|:.:.:.:.:.:. : ≧o｡、 　:∨:.:.:.:.:.:| : 斗允匕: : i: : i　ヽ:ヽ
.　　 //　 :|:.:.:.:.:.:. : / ＿　｀ 　 ＼:.:.: イ 　 ＿　}: : /: : }ﾟ，　ﾏﾑ
　　// 　/:.:.:.:.:.:.:.:.:{: /芹芋ミ　 　＼:. |/芹笏 7i /:.:.:.:.:i ﾟ，　 }:.ﾟ。　　　　　　　　恨んで良いぞ。
. 　{ {:　/　|:.:.:.:. : ヽｉ:　V)ツ　　 　 　ヽ!: V)ツ / /:.: : /:}　ﾟ， :i:. i
.　 ｉ i / 　 |:.:.:.:.:.:.: {＼　　　　　　　　　＼ 　 /イ:.: : /:. i 　 ﾟ，}: }　 　 　 　 　 　 我々も同じ位置を辿ってきた。
.　 | | ＼　:.:.:.:.:.:.: : ﾟ。　　 　 　 　 '　　　　 ／/:.: : /{: : |　　 〉:. i
.　 | |　　 〉:.:.:.:.:.:.:. : ﾟ 八 　 　 　 ＿　　 　 :八:.:.:./　ﾟ，:! ／ﾟ，:.:|　 　 　 　 　 　 諦めた側の人間だ。
.　 | |:　 /: : ＼:.:.:.:.:. i　 |　 　　´　　 ｀　　 l/:.:.: / ! 　ﾟ。!:.:.: ∧｜
.　 | |　/:.:.:.:.:.:. ＼:.:. |　 |　　l＞　　　 ＜l　!:.:／ 　}／ リ:.:.:.: ∧|
.　 |:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼:l:＜　/℡ 　 ¨ ＿／',|:/‐= ∨:.:.:.:.:.:.:.:.: : ∧
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: : i　 ∧　　 　 　 |/////{ {:/ //　　ﾏﾑ/ /////:∧　　　　 　 /　　}:.:.:.:.:.
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: : |　　 ∧　 　 　 ∨///// ////＼//| |//////〉　　　　　 /　　　 |:.:.:.:.:.
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父だったものと母だったものはそれ以上の言葉を紡がなかった。
　　 　 　 　 I
愛は無く、俺が無く。
 

美筆やらない夫だった人形は言葉を失う。
 

　　　　　　　　　　′
　　　　　　　　　/
　　　　　 　 　 /　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |
　　　　　　　　,'　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |
　　　　　　 　∧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |
　 　 　 　 　 '　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 j
　　 　 　 　 f¨ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′
　 　 　 　 メj　 j　 i!　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /
　　,　＜フ　i 　 ヽ,ﾍ＿_　　　　/　　　　　　　　　　　　　　/ ー ､_
￣ 　 ／ 　:| ヽ　 　ー ､二ﾍ.,ノ　　i!　　　　　　　　 ／　ヽ　 　　＼＞
　　／　　　|iヽ ヽ､_　　 　 　｀ー ､_L,＿__ 　 　 　,ｲ　　 ｲ　　 　 　 ＼ 　` ､
　/ 　 ＞ ´ハヽ､ 　ヽ､_ゞ　　　　　　　　　￣,＞ｲ 　　./ 　　 　　　　　＼ 　` ー ､
　＞イ　　 i　ﾞｔ　ヽ､_ 　　¨　ヽ､　　　 　 　 　 　 　 i／∧.　＼ 　　　　／ 　 　 　 ` ､
／　　 　　{ 　 ヽｰ､ `ヽ､_ 　 　 　 　 　 　 　 　 　 //　　|　　 ＼　 ／　　　　　　　　７
　　　　　　ヽ　　ﾞゝ､ヽ､_　￣　　　　　　　　　　　,ｲｲ　　 |　　　　＼ 　　　　　　　 ／
＼　　　　　 ﾍ　　　ヽ 　ヽ､_ 　　　　　　　　　　 f_ノ　　 ｊ 　　　　　/　　　　　　／
　 ＼　 　 　 ∧　　　ヽ､_ 　　　　　　__,,.. ．-‐ ￣¨ﾍ 　/　　　　　/　　　　　　/
　　　ﾍ 　　　　i　　　　　 ` ー x-‐=ﾆ 　＞ -　￣　¨ <　　　　　/ 　　　　/　/
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道化は涙を浮かべ、手を差し出す。
 

人形は何も語らず、何も発さず。
 

共に今日もまた、劇で興じるのであった。
 

盛大なおままごとがまた翌日も幕を開ける。
 

　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　 ／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　 |　　　 （⌒ ）（⌒）　　　　　　　あぁ、良かっただろ、
　　　　　　　 |　　　　 （__人__）
　 　　　 　 　 |　 　　　｀ ⌒´ﾉ　　　 　 　 　 お母さんにも見せてあげなさい。
　　　　　　　　|　　　　　　 　 }
　　　　　　　　ヽ　　　　　ﾍミ|　　　　　　　　 喜ぶだろ。
　　　　　　　　／,`　、` -`,--` ,
　　＿＿,---/;;;;;`　　`-,-/ニﾆ |
　/;;;;;::::、:::::::::|、_ ,＞、 /::l,_l･　,<、__
ノ;;;;;;;;;;;;:::|::::::::::＜:::::::ヽ``l::::|　　|`l,::::ヽ
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;;;;;;;;;;;;/、;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::;`l;;;|;;;;;;;;;;;::::: `l|、
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;;;く　　　';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::;;;;;;;l;;;;;;;;;;;;;;;;;;/
 

　　　　　　＿＿＿_
　　　　 ／⌒　　⌒＼
　　　／ ●　　　● 　＼　　　　　　　　　　　　　　　はーい！
　　　|⊃　(_,､_,)　⊂⊃　|
　　　＞ 　 '､_ノ　　 　 ィ’
 

太陽に近づきたいと、敵わぬ夢を語り合う蝋で作られたカッコウの夫婦。
 

いつの日か、本物の鳥になれる事を求め
 

今日もカッコウを演じ続ける。